ある任意売却の決済時に売主(共有の奥様)に泣かれた事があります。
「本当に助かりました・・・。有難うございました。」と。
こちらの方が泣けて来たのを昨日の事の様に覚えています。
その方から先日、「当時、紹介して頂いたアパートから引越をしました。家族5人元気でやっています。」という連絡を頂きました。
任意売却の相談で初めてお会いした時、この売主はどん底でした。
子供3人は大学・高校・中学への入学が控え、今後更にお金がかかる事。住宅ローンだけでなく、固定資産税やマンションの管理費が滞納で毎月の様に市役所や管理組合から督促状が送られてくる。
それでも、私の「大丈夫です。必ず解決できますから一緒に頑張りましょう。」の言葉に最後までついてきて下さいました。
任意売却は、自宅を不本意ながら売却するのですから売主にとってつらい事です。
そして、「住む所が見つかるのか」「この後生活はやっていけるのか」「売却したあと債権者からどうされるのか」といった不安と葛藤しながら売却活動を開始します。
任意売却の分野において我々、不動産業者は単に不動産を売るだけの仕事では不十分で、売主の良き相談相手であり一蓮托生のパートナーでなければならないと思います。
市役所や管理組合との交渉、賃貸業者や引越業者の紹介は不動産の売却と切り離せないものであり、売主の不安点を一つ一つ解消する事こそが任意売却の実務だと私は信じます。