債権者が競売の申立てをし、競売開始決定がなさると第三者にも競売が始まる事が知れ渡ります。
この時、様々な業者から債務者の自宅へダイレクトメールが届いたり、時には飛込み訪問をしてきて、債務者に甘い言葉を投げかけ接触してきます。
現に、昨年当社で購入した任意売却物件(空家)にも30通以上のダイレクトメールが来ていました。
問題はダイレクトメールや訪問営業の是非ではなく、その中身の是非です。
「連絡頂ければまだ間に合います」はその通りですが、債権者などの権利関係や対象不動産の相場を一切確認もせずに「当社に任せて頂ければ現金を50万円残します」と断言しているもがいくつもありました。恐らくは他の物件にも同様のダイレクトメールを出しているため定型文なのでしょう。
しかし、どうやってそれ程のお金を残すのでしょうか?
この物件を例に見ていきますと相場は600万円前後でした。もし話がまとまっても仲介手数料は約25万円程度です。債務者の事を考えて自らの仲介手数料を債務者へ回す心意気であればまだ良いのですが、仲介業者の取り分以上の現金を債務者に残せる根拠が分かりません。
また、もし税金などの差押えがあり抵当権者がその費用を認めてくれない場合の解除費用や引越し費用、売却後の債務者の対応などを考える事なく、売買契約の締結だけにとらわれた活動では、決して債務者を救う事などできないはずです。
この様に、債務者の現状や権利関係を何も把握せずに甘い言葉をエサにした提案に対して、任意売却に携わる者として辟易しました。
少なくともグランソレイユではこの様な無責任な営業活動を絶対に行いませんし、恐らく、債務者のために任意売却を行っている業者であれば皆同じ考えのはずでしょう。
競売が迫った債務者は「藁をも掴む思い」でこの様な甘い言葉に飛びつく方もおられますが、こんな時だからこそ冷静に考えて対応して頂きたいと強く思います。
「根拠のない甘い提案では何も解決されません」