先日、ある相談者と初めてお会いした際に
「住宅ローンの滞納で債権者から任意売却を勧められているが、相談を不動産業者にするべきか弁護士にするべきかを迷った。ただ弁護士は敷居が高かったので先に御社へ連絡した」と聞かされました。
全体像が掴めない段階では答えようのない質問ですが、私が思うところを述べさせて頂きますと
不動産に関係する事は「不動産業者」
債務の支払いに関する事は弁護士や司法書士(以下、「法律専門家」といいます)となります。
勿論、殆どの方が両方とも大変で判断が難しいと思いますので、まずは任意売却全体の流れを見ていきます。
保証会社などから代位弁済の予告が届き、任意売却を勧められた際の流れは以下の様になります。
①債権者へ任意売却の意思を伝える
②不動産の査定書を債権者へ提出する
③債権者と不動産業者との間で売却価格について合意を得る
④債務者(任意売却の売主)と不動産業者との間で売出価格について合意を得る *媒介契約を締結
⑤販売活動
⑥買主が見つかる
⑦売買契約金額について債権者の合意を得る
⑧売買代金の配分案について債権者の合意を得る =ここに⑫が来る場合もある
⑨売主と買主で売買契約を締結する *売買契約を締結
⑩引越しをする
⑪残代金決済(引渡し)=⑫同時に残った債務(残債)について支払い条件を債権者と決める
この流れの中で①~⑪までは全て「不動産業者」が主体となって行います。
⑫だけが「法律専門家」の領域と言えますが、多くの方は債務者自身で債権者と話し合います。また、それが一般的であり難しい事は何もありません。
法律専門家の仕事は、現在及び不動産を売却した後の債務(いわゆる残債)の支払いについて、債権者と交渉したり整理したりする事であり、不動産の売買契約や販売活動を代理人である弁護士などが直接行う事は絶対にありません。
注:管財人弁護士の場合には少し異なります。
言い換えると、「不動産業者」は不動産の売却実務においての専門家であり、任意売却における販売活動及びそれに関連する債権者との折衝は、「法律専門家」ではなく「不動産業者」の仕事です。
現に、当社は弁護士や司法書士からの要請で任意売却を行う場合もありますが、その際、不動産の販売活動に口を挟む弁護士や司法書士は皆無です。
この様な意味からも、「任意売却の相談」は弁護士よりも不動産業者へ行うものだと考えますが、その一方で、相談者の現状を把握して法的知識に裏付けられた処理を行えるかは非常に重要な事です。
昨今、任意売却専門を掲げる不動産業者は多数ありますが、本来、不動産業者として任意売却を行うには、相当の経験や法的知識が要求されます。
当社は、「法律専門家」からの要請で任意売却を行っている会社ですが、他方で直接依頼のあった任意売却の処理についても豊富な経験に基づき適正な任意売却活動を行っています。また活動中も「法律専門家」と一体となったサポートを行っていますので、どこに相談すれば良いかを迷われている方も安心してご相談下さい。