私が不動産業界に入りたての頃の話ですが、知り合いが大失態を演じました。
彼は、担当した不動産の敷地境界を全く確認せずに、売主から買主へ引渡しを
完了してしまいました。
しかしその1年後、買主が建替えを行う際に敷地調査をしてみると、自分の敷
地と思っていた庭の4分の1程度が、実は隣地の所有だったのです。
隣地の方の証言では、「元々、自分の祖父母の代に仲が良く、塀などは立てず
に庭を共通で使用していた。その後、祖父から父へ世代が替わり、家の建替え
をする事になった時、境界部分には大きな木があり、それを残すため本来の境界
から控えて塀を立てた。
今は、その大きな木が枯れて塀だけが残り、見た目は塀が境界の様に見えるが実
際には違う。うちが塀を造った時から、お隣りが建替えの時には庭を返す約束も
交わしていた」というのです。
法務局の地積測量図でみると一目瞭然で、隣地の言っている境界線が正しく、
彼が引渡した境界は明らかに他人地でした。
売主も既に祖父から孫へと世代が替わっていて、この事情を知らなかった訳
ですが、地積測量図では一目瞭然であり、仲介業者としては説明のつかない
大失態でした。